今回は運動器疾患、1
1、肩関節炎 , 2、五十肩、 3、慢性の肩こり
4、ぎっくり腰、 5、坐骨神経痛
運動器疾患の治療は鍼灸治療は得意とする分野です、
患者さんの大半が肩が凝る、腰が痛いと感じたら
まず、病院に行くよりも先に、近くの治療室で肩こりの治療を考えるはずです。
その時に効果が期待出来るのが、はり、灸治療です。
今回は先ず始めに肩関節炎の治療法から書き込みます。
1、肩関節炎
先ず、大半の患者さんは肩が痛くなり、腕が上がらなくなると
すぐに五十肩だと考えます。
また、病院の診断でも五十肩と言われたといって当院へ治療に来院いたしますが、
実際に五十肩と診断がつくものは半分ぐらいの方です。
実際は、肩関節炎であったり、腱板炎などが多く、時には腱板断裂などの方もいます。
ですから、最初の診断が大切で、ここで間違うと治療期間が大幅に異なります。
また、腱板断裂のひどいものは、ただちに病院での処置が必要だろうと考えます。
それでは、肩関節炎の治療
【症例 1】
患者50歳、3週間前より会社のゴルフコンペのために、ゴルフの練習を始めた
最初は肩に違和感が有ったので湿布を行いながら練習を行っていた。
ここ5日ぐらい前から痛みがひどく、腕も上がらない。
自分で、腕の運動、温泉など色々と行うが症状はひどくなってきたので
病院へ行き、痛みどめを飲むがあまり効果はないので、当院へ来院した。
◆、治療、
肩は90度より少し上がる程度、肩関節は腫れて熱がある。
脈はやや浮いてやや速く、硬い感じ。
まず、手足のツボ、肝経、腎経のツボを補う。次に大腸経を営気で処置する。
これで、脈が少し落ち着く、あとは、肩、首、背中を鍼で処置する。
最後に、肩関節の熱を取るように処置して終わる。
2回目、翌日来院。
夜は眠れた、痛みが少し良い。
肩の腫れが少し減る。治療は同じ。
3回目翌日来院、。
痛みはない、腕も上がるようになる。
脈の速いのが取れる、硬さも良くなる、
治療は大腸経は触らず、
4回目一日おいて来院、痛み良い、腕は上がる。
これで治療は終了です。
急性の肩関節炎はこのように適切に治療が行われると
治療期間が早いです。
2、五十肩
五十肩の特徴は肩周辺の痛みと、運動制限、それと肩の関節の筋肉が痩せて落ちてきます。
また、運動制限も、自動でも、他動でもある一定以上は上がりにくいということです。
それでは、五十肩の治療
【症例 1】
患者56歳、仕事は事務仕事が多いのだが、時々現場を手伝う時もあり手を使った、
症状は、3か月前より腕が痛くなり、病院で痛みどめ、電気治療、マッサージなど行うが良くない。
最近は、痛みのために、夜眠れない、腕も90度しか上がらない。
自分で、腕の運動を行う、お風呂に長く入るなど、色々と行うが良くない。
我慢できず当院へ来院。
◆、治療、
先ず、患者の肩を見ると少しやせてきている。
動きは90度で痛みが出る、それ以上は上がらない、他動的にも同じである。
患者の訴える症状より五十肩ではと判断する。そこで、患者の夜の痛みを取ることを優先する。
脈はやや沈みぎみでやや硬い感じ。
まず、手足のツボ、肝経、腎経のツボを補う。次に肺経の治療を行う。
これで、脈が少し硬さが取れる。あとは、肩、首、背中を鍼と知熱灸で処置する。
最後に、肩関節も同じように処置して終わる。
2回目翌日来院。
昨夜は少し痛みが取れた、ほかの症状は同じ。
3回から5回目一日おいて来院。
夜の痛みがだいぶ良くなる、眠れるようになる。
動きは同じ。
その後週に2回の治療を2か月で腕の痛みはなくなる。動きも良くなる。
五十肩の場合は肩関節炎と違い2,3日で良くなることはない、
先ず痛みが取れて、次に腕の運動制限が良くなり、筋肉のやせたのが良くなる。
病名の違いにより、同じ肩の痛みでも治るまでの治療期間の違いがあります。
3、慢性の肩こり
肩こりにも色々な状態があります。
慢性の肩こりになると、なかなか肩こりの症状が改善されにくいです。
美容室、散髪屋さんで、肩がひどく凝っていますねと言われるタイプの肩こりです。
この、慢性的な肩こりの方はマッサージ機などで良くゴリゴリと痛くなるまで
肩の周りの筋肉をもみすぎてしまい、筋肉の血液循環が悪くなり慢性の肩こりに成ってしまいます。
この慢性の肩こりは、少しずつ表面から凝りを取っていきますので、完全に症状が取れて、肩の筋肉が柔らかくなるには、治療の日数がかかります、あきらめずに治療を行うと完全に良くなります。
それでは、慢性の肩こりの治療
【症例 1】
患者38歳、仕事は事務、一日中パソコンを行う、運動もしない、
肩こりがひどく、マッサージに行く、電気治療も行う、自分でも肩を良くたたく、温泉も良く行く。
肩の周りの筋肉が硬く、石でも乗せた感じである。
便秘ぎみ、生理不順、生理痛、頭痛など色々とある。
◆、治療、
先ず、患者の肩を触ると、石のように硬い。
お腹も上腹部から、下腹部へ抑えると硬い。
まず、肩こりの治療も大事だが、体質改善を優先しながら肩こりを取る。
脈はやや沈みぎみで肝臓の所の脈が硬い。
まず、足のツボ、脾経のツボを補う。次に肝経のツボを瀉法する。
これで、脈が少し硬さが取れる。あとは、お腹、肩、首、背中を鍼と知熱灸で処置する。
肩のこりの硬い部分は、触りすぎないように注意しながら処置して終わる。
2回目3日目に来院。
肩こりは変わらないが、身体はなんだか楽である。便通が5日ぶりにあり、今朝も少しあった。
3回目より1週間から10日に1回、3か月来院。
最近は便通が良くなる、生理も順調、肩こりはあるが最初ほどではない
6か月後、肩こりはあまり感じなくなる、現在は月に1、2回程度来院。
肩こりでも、慢性になるとひどい肩こりになり色々と他の症状も出てくる
また、慢性の肩こりで体質により、治療期間も長くなることもあります
肩の痛みでは体質により、治るまでの治療期間の違いがあります。
4,急性の腰痛
腰痛にも色々な状態があります。
急性の痛みである、ぎっくり腰、慢性の腰痛、坐骨神経痛、内臓性の腰痛など色々です。
急性のぎっくり腰などは、魔女の一撃と言われるほど激痛になることが多いです。
また、慢性の坐骨神経痛なども治療が遅れると痛みが取れるまで長くかかります。
それでは、急性の腰痛(ぎっくり腰)の治療
【症例 1】
患者42歳、パートで調理の仕事、長い時間立って調理をしている。また、重たい鍋などを持つ、
腰を痛めたのが今回で2回目。
昨日から少し痛かったが、今日仕事中にひどくなり、途中で家に帰り寝ていたが良くならず治療に来た。
腰の曲げ伸ばしが出来ない、痛い。
◆、治療、
先ず、ベットに横になり寝てもらう、
脈はやや浮いていて、やや硬く、やや速い、患部に熱が有るのだろう。
まず、足のツボ、肝経、腎経のツボを補う。これで脈の速い脈が落ち着く。
次に、胆経を軽く瀉法する。
これで、うつぶせができるようになり、腰を治療する、
腰の患部は、やはり、やや腫れて熱が有る。
この患部の熱を取るようにはりを行うと、熱が少しとれて腫れも少し引く。
これで初回の治療は終わり、少し動けるようになる。
2回目翌日来院。
昨日は痛かったが治療後は少し楽になり、今朝は仕事に行けた。
治療は同じ、陽経の胆経は触らず。
3回目、一日おいて来院。
腰は痛みはない。
急性の腰痛の場合、痛みはひどいが、
適切に治療ができると、痛みの割には治り方は早い。
5,坐骨神経痛性
坐骨神経痛にもまた色々な状態があります。
ぎっくり腰などの急性の腰痛を何回か繰り返した後に起こりやすいです、
また、慢性の腰痛より起こるタイプ、
脊椎の変形より起こるタイプ、など色々と原因の違いはありますが
痛み及びしびれは、腰から臀部、足の先まで神経の流れに沿って起こりやすいのが特徴です。
また、痛み方も、激痛から、鈍痛まで様々です。
それでは、坐骨神経痛の治療
【症例 1】
患者45歳、営業で一日中車で外回りをしている。
今までに急性の腰痛を5回する。
今回は2か月前に腰痛を起こし、病院で治療していたが、
痛みは完全に取れない状態が続いていた、
また、仕事が忙しく、車に乗る時間も多かった・
1か月前から臀部が痛みだし、今では大腿部後ろ側と大腿部横が痛い、
痛み方も少しうずくような時がある。
病院で治療を行うが、痛みがあまり変わらないので来院した。
◆、治療、
先ず、脈を診ると、沈んで細い感じである。、
痛みが強く、病院での治療経過が思わしくないのは、陽気が少ないためで
また、身体の中の血が少ないためだろうと想像できた。
まず、手足のツボ、肝経、腎経のツボを補い、陽経の胆経、膀胱経も補った
少し脈に力がついてきた。
腰の患部はやはり、やや筋張っている感じなので、はりを行い、筋張りを取る。
腰椎の圧痛のある部分も治療。
足の痛みのある部分へはり、お灸を痛くなく、熱く行う。これで治療は終了。
痛みは変わらないが、すっきりした感じ。
2回目翌日来院。
昨日は夜痛みが軽く寝れた。仕事中は少し痛い。
治療は同じ。
3回目から5回目も毎日来院、治療同じ。
臀部から足の痛み少しずつ良くなるが、完全ではない。
その後1週間に2回、1か月治療で完全に良くなる。
現在は月に1,2回治療。
坐骨神経痛の場合、体質的に冷えるタイプで、血の少ない方は
治り方が」悪く、痛み方も強く、激痛になる傾向が強いが、
適切に治療ができると、痛みの割には治り方は早い。